
12枚の画像



ブルース・バナーの説明されない不在
17年ぶりに、マーベルは『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を通して『インクレディブル・ハルク』の緩やかな続編を遂に届けた。本作は、ハルクのMCU初登場から続く複数の未解決点に触れており、ティム・ブレイク・ネルソン演じるサミュエル・スターンズの変貌や、ハリソン・フォード演じるサディアス・“サンダーボルト”・ロスがついにその報いを受けることなどが描かれる。リヴ・タイラーが2008年以来となるベティ・ロス役で再登場する。
しかし、明らかに不在なのはマーク・ラファロ演じるブルース・バナーであり、理屈の上ではこのガンマ・パワーをめぐるストーリーに関わるべき唯一の人物である。アベンジャーズ以後、地球規模の脅威を監視する役割を確立してきたバナーや、ロスとスターンズの両方との個人的な繋がりを考えると、彼の不在は特に目立つ。将来のMCU作品で彼の居場所(おそらく息子スカーのいる地球外かもしれない)が説明される可能性はあるが、ハルク神話に深く結びついた本作でのこの欠落は不可解である。
リーダーの驚くほど限定的な野望
卓越した戦術家としての評判にもかかわらず、スターンズの『ブレイブ・ニュー・ワールド』での計画は、残念なほど小規模に感じられる。あらゆる可能性のある結果を計算できるはずの悪役でありながら、彼はキャプテン・アメリカの干渉を繰り返し甘く見ている。録音された電話を通じてロスの大統領職を妨害するという彼の最終計画は、彼の知性を持つキャラクターには見合わず、多元宇宙を脅かすコミック版の彼と比較すると尚更である。
レッドハルクの活かされなかった可能性

『ブレイブ・ニュー・ワールド』は、レッドハルクがマーベルの世界観で何をもってユニークであるかを根本的に誤解している。コミック版では、完全に分別を保つ戦術的天才として描かれているが、MCU版は単に、異なる色合いを持つグリーンハルクに過ぎない、もう一つの無分別な怒りの怪物になってしまっている。これは、ロスを戦略的で戦練を積んだハルクのバージョンとして紹介する機会を逃している。
バッキーの予想外のキャリアチェンジ
セバスチャン・スタン演じるウィンター・ソルジャーは、野心ある政治家としての短い登場を果たすが、この展開は全く説得力に欠ける。バッキーのトラウマ的な過去に、政治的野心が彼にとって自然なものだという示唆は何もなく、洗脳された暗殺者としての経歴は、どのような選挙運動にとっても問題となる可能性が高い。サムとの友情が認められるのは良いが、このサブプロットは答えられるよりも多くの疑問を生んでいる。
未解決の謎とキャラクターの動機
ジャンカルロ・エスポジト演じるサイドワインダーのキャプテン・アメリカに対する説明されない怨恨から、シラ・ハース演じるサブラのキャラクターの活用不足まで、いくつかの重要な要素が十分に掘り下げられていない印象を受ける。アダマンチウムの導入も、意味のある世界構築というよりはプロットの便宜上のもののように感じられる。これらの物語の近道は、本作が大規模なリシュートの過程で大幅な影響を受けた可能性を示唆している。
くすぶるアベンジャーズの疑問
『エンドゲーム』から6年が経過したにもかかわらず、MCUはまだその旗艦スーパーヒーローチームを意味のある形で再結成していない。『ブレイブ・ニュー・ワールド』は地球最強のヒーローたちを再集結させるというアイデアをほのめかすが、実際の進展には至っていない。『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』まであと1年強となった今、チームビルディングの継続的な欠如はますます懸念材料となっている。
結局のところ、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は、MCUの未来について答えられるより多くの疑問を残し、さらに現在の要素さえも完全に活用することに苦労している。